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2019年06月01日イベントレポート

オーブルホーム(神戸)5月開催完成見学会レポート

省エネ住宅 神戸市 オーブルホーム 新築 垂水区 外観

令和最初の猛暑日となった日、神戸市で開催されたオーブルホームさんのQ1住宅(省エネ住宅)完成見学会に参加してきました。
駅から坂道を上り続けること約10分。
5月なのに夏としか思えない暑さにうんざりしてきたところで、お家に辿り着きました。
ご夫婦で営まれているオーブルホームさんでは、近隣の方や飛び込みの見学をご遠慮いただく意味で、見学会の際に看板なども一切出されておりません。

間違っていないか少しドキドキしながら玄関ドアを開けます。
一瞬にして感じるひんやりとした空気が「あぁ、新住協の家だわ」と思わせてくれました。
新住協の家の特徴は、玄関を開けた際の外気温との差です。
本物の省エネ住宅では、暑い日は玄関ドアを開けるとひんやりとしていますし、寒い日はホッコリした空気で帰ってきた住人を迎えてくれます。
どちらの季節も、電車や百貨店のように極端な温度差ではなく、肌が心地いいと感じる温度差です。
決して「涼しい!」と感じるような、一瞬だけ涼しく後はどんどん体が冷えていくような感覚ではありません。

オーブルホームの代表である一級建築士の塩貝さんとご挨拶させていただいてから、家の中を好きに見せていただきました。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 レール型照明

リビングダイニングの上は一見吹き抜けのようになっており、図面以上に広く感じます。
天井に配された照明器具、いつものことですが今回のお家も照明器具がとても凝っています。 オーブルホーム(神戸)は省エネ住宅の性能と素敵なデザインの融合で有名な工務店さんですが、今回気になった照明は2か所に設置されたレール式の照明器具です。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 照明選び

想像通り、キッチン横にテーブルを持ってくることも可能な作りでした。
明かりは必要な場所を照らすべきで、やはりお子さんがいらっしゃるご家庭では、デザインやおしゃれさだけで照明を選ぶのは難しいと感じました。
その点オーブルホームさんでは、模様替えや家具の配置変更・時間とともに変わっていく暮らし方に合わせて変化できるように考えた照明の種類や配置を提案されています。
今の暮らしでは必需品である、お子さんの暮らしに合わせた照明選びがとても素敵でした。
レールタイプの照明器具が埋め込まれていると、不要な時は違和感なく外すことができることが分かり、レールタイプの照明器具の便利さを実感しました。

リビング上の吹き抜け風な場所が気になったので続いて2階に上がらせていただきます。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 ロフト デザイン

階段上がった踊り場にひときわ目を引く空間が広がっています。
ロフトのような・・・?吹き抜けのような?
不思議な空間ですが、その切り取られたような場所に上がった瞬間に意図が分かりました。
神戸市にあるこちらは借景の素晴らしいお家です。
この場所からだと床に座ってくつろぎながら、その景色を独り占めにできるのです。
絶妙な高さですし、お子さん、特に女の子だったりするとお友達とお話をするのにも素敵な空間です。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 空気の流れ

見学中の小さなお子様をお持ちの方が、この写真に写っている柵を心配されていました。
確かに気になる隙間だと思いますが、今はとっても安全なネット柵などもあるので、必要ならいつでも取り付け可能な便利な作りとなっていました。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 エアコン選び

そしてこの空間、驚いたのがクーラーの設置場所です。
基本的に新住協の省エネ住宅では床下エアコンが採用されており、こちらのお宅にも設置されています。
この床下エアコン、冬場は力を発揮してくれるのですが、夏場はほとんど効きません。
冷たい空気は下に溜まるので当然と言えば当然です。
その為に、省エネ住宅では基本的にエアコンが2台設置されています。
こちらのお宅では、階段昇ってすぐの場所にエアコンの設置場所があり、エアコンから噴き出た冷たい風が、この柵から下へと流れる仕組みになっていました。
一切の無駄が無く、空気の流れが計算されていました。
ただ明るいと感じていた場所が、あらゆる意図をもっていたことが分かります。

本当に快適な省エネ住宅を建てる場合、正しい技術と設計とプランが必要となります。
どれか1つでも足りていない場合、省エネ住宅として機能しない場合もあるので、見学会の際にはぜひそう言ったポイントにも注意してご覧ください。
正しく作られている場合、喜んで意図を説明してくれますので、遠慮なく質問されることをお勧めいたします。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 主寝室

2階はその他に、ウォークインクローゼット付の主寝室と、収納が何もないお部屋が2つありました。
景色が一番いい場所に、生涯この家で暮らすことになるご夫婦のお部屋が配置されているのは本当に素敵です。
そして、面白かったのは個室2部屋。
部屋ごとに1面だけ壁の色が違います。しかも同じ方向の面ではなく、対面で色が違う・・・収納も無い・・・。
もしかして?と思ったところ、やはり壁はいずれ取り外せるように設計されていました。
色が違う壁を外すと、白一色の広い部屋になる。将来のことを見越しつつ、でも今は小さなお子さんが「自分のお城が欲しい」と願う気持ちが形になっているのがとても素敵でした。

階段上がりの壁が棚になっているのは今はあまり珍しくないと思いますが、こちらはそれよりもだいぶ分厚く使い勝手がよさそうな棚が設置されていました。
よくある文庫本や漫画本サイズの厚みの棚って、お洒落で可愛いいですが実用にはあまり向かない気がします。
特にお子さんのいらっしゃるお家ですと、ランドセルや本などを手軽に収納できる厚みがある棚は本当に便利なので、これはどこの家庭にも欲しいんじゃないか・・・と思いました。
踊り場って結構物をポンポン置いてしまいやすいので、少し余裕があるだけで快適性が違いそうです。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 階段

階段を下りたところには手洗い場やお風呂があります。
部屋から降りてきたお子さんが食事前に手を洗う、学校から帰ってきたお子さんが手を洗って部屋に戻る。
便利な場所に設置されています。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 キッチン

最後にご紹介させていただくのが、一か所がタイルになっているキッチンスペースです。
カフェのようなお洒落なキッチンですが、これまた絶妙な作りになっています。
まずキッチンの横にあるちょっとしたスペース。
食事の用意をしながら、雑多な用事もかたずけることができるのは、日々忙しく過ごされている方には必要なスペースだと思います。
階段下の収納は、一度しまうとなかなか出しにくいという難点があると個人的に思っています。だからこそ、こまごまとした用事を片付けることができるスペースになっているのは、物事が一か所ですみそうでうらやましい空間でした。
豊富な収納があるキッチンはパントリーと玄関へ繋がっています。
買い物をして帰ってきた場合、リビングを通らずにキッチンまで行けるのはとても便利です。
回遊魚のようにくるくると回りながら家事を済ませていくお施主さんご夫妻の姿が容易に想像できる導線でした。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 ゴミ箱スペース

そして、ステンレス天板のキッチンはとても使いやすそうでしたが、注目はシンク下です。
シンク下は基本的に湿気やすく、開けた時に何とも言えない匂いがします。
これは仕方のないことだと思っていたのですが、こちらのお家では扉や引き出しがありません。
もしかして?と一つの理由を想像しながらプランナーの奥様に尋ねたところ、やはりゴミ箱を置く位置として空けられてました。
ただ想像以上だったのが、神戸市ではごみの分別がかなり細かくなっているため最低でも3つのごみ箱が必要なるそうです。
この横幅は、3つのごみ箱が綺麗に収まるように考えられたそうです。
ゴミ箱っていざ置くとなるとかなり存在感がある上に、食材のそば等には置きたくないため設置場所に悩みますが、この形ですと調理中最短距離でゴミが捨てられるうえ、人目につかないのでインテリアを崩されることがありません。

大きな注目ポイントばかり書きましたが、その他にも気になる点が随所にありました。
例えば、漆喰壁と塗装壁の使い分けです。
何人かのお客様も尋ねられてらっしゃいましたが、とても不思議な内壁のお家でした。
漆喰とも違う気がするし、でも壁紙ではない。一体これは何でできているのか。塩貝さんに尋ねたところ、紙の上に何重にも塗装している場所と、漆喰壁の場所と両方使用していると教えてくれました。
この使い分けがとても行き届いていた注目ポイントです。
テーブルなどの動いてしまいやすい家具が擦れたり、お子さんがついつい手を擦りながら通ってしまう場所は、メンテナンス(修理)がしやすいように塗装になっているのです。
そして、特に触れるものを心配しなくてよい場所は漆喰になっているのです。
こんな使い分けがあるとは考えもしませんでした。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 内装デザイン

写真では分かりにくいのでぜひ現場で確認してください。

こちらのお家を一言で表すと「分かりやすい家」でした。
家の中を見て回るうち、まずは家族構成がすぐに分かります。
そしてどんな生活を営まれているかまで分かるような気がするのです。
気になってその旨をプランナーの奥様に確認させていただいたところ、やはり予想は的中。何とも分かりやすいお家でした。
家を見た時に「分かりやすい」と感じるお家は、そこで暮らす人が見えてくるからだと思っています。
動線がはっきりしていて、どういった暮らし方を望まれているのか。
今回のように、お子さんの走り回る足音まで聞こえてきそうなほど分かりやすいお家を見せていただくと、その裏ではどれほどのお打合せを重ね、お施主さんが希望を的確に伝えられたのかということを考えさせられました。

省エネ住宅 神戸 オーブルホーム 新築 垂水区 おしゃれインテリ

いい家を建てている建築会社や工務店であれば、いい家が建つというのは間違っていると感じることが多々あります。
いい家になるかどうかは、お施主さんが自分たち家族の希望を明確にし、しっかりと伝え、それを受け取るプランナーと建築士が実際の形にする。そうしてこそいい家になると思うのです。
簡単に書いていますが、自分の理想がどういったものなのか言葉で伝えることはとても難しいですし、それを立体の形にすることの難しさも想像を超えるものだと思います。
ですが、洋服だって靴だってオーダーメイドする事なんて一生の内で一度あるかないかの時代です。
注文住宅は本当に高価な買い物だからこそ、自分たち家族の理想の暮らし方を伝えることに妥協しない方が良いと思います(費用面での妥協は必要になるとは思いますが・・・。)
自分たちの気持ちや暮らし方をはっきりと伝えるためにも、完成見学会に頻繁に足を運び、お施主さんの望む暮らしの形を明確にされるのが、いい家を建てるための一番の近道だと感じた完成見学会でした。

様々なヒント、真似したいポイントが豊富にある完成見学会は役に立ちます。
家づくりをお考えの際には何度も足を運ばれることをおススメします。


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